これまでに「年金」や「積立て投資」について何度か説明をしてきましたが…
もし、どちらかだけに掛金をかけなければいけないとしたら、あなたはどちらを選びますか?
まずは、お互いの特徴とリスクを知っていきましょう。
受けとる仕組みを備えた投資「年金」
個人年金保険は、将来の受給額があらかじめ決まっている事が特徴として挙げられます。
「どうして個人年金に入っているのですか?」と質問すると、「老後が心配だし、将来のお守り代わりになる」と答える人がほとんどです。
しかし、私達は個人年金保険のみで、サード・エイジ(65歳〜90歳)の安心を本当に買えるのでしょうか?
そもそも、私達は普段「〇〇年金」という表現と「投資」という言葉を、全く違った意味を持つ言葉として使っていますが…
実際のところは、年金 = 投資なのです。
正確にいうと、年金とは、受けとる仕組みを備えた投資の事。
そして年金という投資は、大きく2つに分けると「他者年金」と「自分年金」になります。
「他者年金」とは、個人年金保険のように、金融機関があなたの代わりに投資を行い、年金を受け取る仕組みまで用意してくれている金融商品の事です。
また、約束した掛金を支払えば、毎年〇〇万円の年金を受給できるという利益もあります。
一方、「自分年金」とは、あなた自身が投資を行い、年金を受け取る仕組みもあなたが作ります。
要するに「自分年金」とは、あらかじめ受給額が決まってない「積立て投資」の事なのです。
それでは、他者年金である個人年金保険の典型的な例を紹介してみましょう。
年金太郎さんは今年25歳。
彼が60歳になるまでに36年間、毎月2万円の掛金を支払うと、60歳から75歳になるまでの15年間で毎月60万円の「年金」が支給されます。
文章で見ると、なかなか魅力的な商品のように思えますが…
何十年後かに受け取る年金額が確定している商品に、死角はないのでしょうか?
個人年金保険とは、あなたと保険会社との「超長期の契約」です。
これは、超長期の契約ゆえに、個人年金保険には次のようなリスクがあります。
個人年金
個人年金は毎月の掛金を保険会社に預けていく積立て貯蓄商品であり、運用においては「固定金利」が使われる。
現在の超低金利下で決定した利回りに何十年にもわたって縛られるのはリスクが大きい。
積立て投資
積立て投資で実績リターンを求める方が賢明。
個人年金
個人年金は流動性が低い金融商品。
積立ての途中で解約すると「ペナルティー料」を取られてしまい、解約返戻金の額が今まで払い込んだ掛金を下回る可能性がある。
積立て投資
積立て投資のツールである投資信託は、いつでも「時価」で解約できる。
個人年金
個人年金のような超長期の契約では、商品の提供元である生命保険会社の「倒産リスク」とも、長期にわたって付き合わなければいけない。
保険会社に万が一の事があれば、年金額の削減等、被害を被る可能性が大きい。
積立て投資
積立て投資のツールである投資信託は、倒産リスクを隔離できる仕組みも備えている。
個人年金
個人年金は「固定金利」で運用される為、あらかじめ何十年後かの「年金受取額」が確定する。
しかし、何十年後かに受け取るそのお金の価値を、私達は誰も知らない。
積立て投資
積立て投資は、価格変動のリスクはあるものの、物価上昇以上のリターンを目指す事が可能。
これらのリスクを考えると、積立て投資で「実績リターン」を求めていく方が合理的です。
個人年金保険は解約して、今まで払っていた掛金を、積立て投資の「原資」に充てるという方法も1つの手ですね。
しかし中には、個人年金を全て解約する事に抵抗を感じる人もいます。
その場合は、財形貯蓄の場合と同じように「1万円分の掛金」を残して、あとは解約する事をオススメします。
この掛金1万円分で、引き続き個人年金保険料控除も活用できますよ。
まとめ
年金とは、受け取る仕組みを備えた投資であり、「他者年金(個人年金保険)」と「自分年金(積立て投資)」に分けられます。
これらのリスクを比較しても「積立て投資」の方が合理的です。
決して個人年金保険が悪いという事ではありませんが、積立て投資の方を優先していく方が、実績リターンを求める事ができますよ。
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