ついに、目標の7000万円を達成したあなた。
長年の苦労も、やっと報われましたね。
早速、お金を使いたいと思うのでしょうが、チョット待って!
まずは、お金をどう管理していけばいいのかを知っておきましょう。
殖やしたお金を、どう使うのか?
ファンドの自動積立ては、ファンドを購入する手間と労力を最小化した、画期的な投資のやり方です。
また、ポートフォリオについても、年に1度、ボーナスからの投資でリ・バランスを実行すれば、簡単にバランス調整が行えます。
ところで、あなたは7000万円の資産を形成した後、どうするのか決めていますか?
「これで、長年の目標を達成したぞ!」という事で、安心されるのでしょうか?
何か大切な事を、あなたは忘れています。
お金を殖やす真の目的は「お金を使う事」にあるのです。
確かに、お金を殖やす事自体、簡単な事ではありません。
特に積立て投資では、長い時間の尺度を持つ事、忍耐力を保つ事が求められます。
しかし、積み上げた資産を有意義に使う事は、それ以上に難しい事なのです。
私は以前、知人の投資花子さん(仮名)から、こんな相談を受けた事があります。
「投資信託を購入する時は、時間の分散でリスクを抑える事ができると思うけど、時間が仕事を辞めた時に、どうやって現金化するのか、投資信託を上手に売却する方法が分からない…」
確かに、65歳時点で7000万円の投資を作る事ができたとしても、それをどうやって管理していけばいいのか?
あなたの頭の中では、次の2つの疑問が浮かんでくるはずです。
それとも一旦、全て現金化するのか?
②この7000万円の資産を、どのように使っていくのか?
具体的には、どの投資信託を、どんな風に売却していけばいいのか?
あなたが最も危惧するのは、資産を無計画に使ってしまい、7000万円という原資が無くなってしまう事です。
しかし一方で、せっかくここまで資産を殖やしてきたのだから、有意義に使いたいとも思うはずです。
引き出しながら運用は続ける
まず、①に対する答えですが…
65歳になった時点、または仕事を辞めた時点で、積立て投資の「実行」は終ります。
しかし、資産運用は続くのです。
なぜならあなたは65歳以降も、65歳時点の「生活レベル」を維持する必要があるからです。
あなたの7000万円という資産は、最低限インフレに負けない程度の収益を稼ぐ必要があります。
正確に言うなら、生活資金を引き出しつつ、7000万円という原資を維持する為には、インフレ率を上回るリターンを上げる事が必要です。
つまり「資産運用を続けながら、生活資金を引き出す」のです。
金額ではなくパーセント。プライベート年金の引き出し方
次に、先ほどの②に対する答えですが、7000万円の資産の引き出し方について紹介していきましょう。
イメージとしては、「みらい資産」から毎年1回「プライベート年金」を引き出すというものです。
以前、「65歳時に7000万円の資を目標」について説明しました話ですが…
サード・エイジの必要生活費を月35万円としました。
そのうち公的資金で10万円程度賄えるとすると、必要な生活資金は約25万円となります。
これを年ペースで計算すると300万円になります。
という事は、毎年「みらい資産」から「300万円」を引き出せばいいのでしょうか?
以前も述べたように、65歳以降も、あなたがリスクを取った運用を続ける事に変わりはありません。
経済の動向次第では、投資信託の価格は下がり、あなたのポートフォリオが収縮する事もあるでしょう。
例えば、昨年は7000万円のポートフォリオが膨らんだ状態で、「300万円」を引き出す事ができました。
ところが、今年はポートフォリオが大きく縮んでしまっています。
この状態で昨年と同じように「300万円」を引き出すと、ポートフォリオの変動が大きくなってしまうのです。
サードエイジで最も危惧する事は、7000万円という原資が減ってしまう事です。
それを避ける為には、ポートフォリオが縮んだ年には、「引き出す金額」を下げる必要があります。
逆に、ポートフォリオが膨らんだ年は、普段引き出している金額よりも「多めの金額」を引き出しても構わない訳です。
ここで発想の転換をしてみましょう。
すなわち、プライベート年金の引き出しは、金額ベースではなくパーセンテージで行う方が合理的なのです。
ポートフォリオの運用成績によって支出もメリハリ
この例は、安全資産を2倍にした「積極型」のポートフォリオです。
仮にこのポートフォリオの期待リターンを年5%とするとしましょう。
あなたは、期待収益率5%のポートフォリオを運用しながら、毎年パーセンテージで「プライベート年金」を引き出すのです。
期待リターン 5%
引き出し率 4%
仮に、このような条件を当てはめ、あなたがポートフォリオ管理を続けたとしましょう。
実際に5%の期待リターンが実現できれば、あなたは5%でポートフォリオを運用しながら、4%の引き出しを行う事になります。
長期的に見れば、ポートフォリオは年1%ずつ増えていきます。
最初は7000万円に対しての4%ですから、月25万円の資金には少しだけ届きませんが、以降、少しずつポートフォリオが膨らんでいけば、同じ4%の引き出しでも、金額ベースは増えていきます。
例えば、ポートフォリオが膨らんで7800万円になれば、同じ4%の引き出しでも金額ベースでは312万円になります。
逆にポートフォリオが縮んで6900万円になれば、引き出せる金額は276万円にしかなりません。
毎年毎年の運用成績によって、引き出せる金額が違ってくる訳です。
「ポートフォリオの成績によって、生活支出にメリハリをつければいいのだ」と割り切れば、対応はそれほど難しくないと思います。
そして、毎年のプライベート年金の引き出しは、ポートフォリオの資産配分を極力崩さないように、各々保有するファンドを「部分解約」することで行うのです。
ところで、年に1度、あなたの資産をクリーニングする作業「リ・バランス」の事を忘れてはいませんか?
積立て投資の実行が終わった後も、あなたの資産のリ・バランスは引き続き行う必要があります。
ちょうど年に1度、資金の引き出し作業を行うわけですから、リ・バランスの作業と、プライベート年金の引き出しを同時に行うようにしましょう。
今回紹介した考え方こそ、ポートフォリオの原資を保ちながら、プライベート年金を引き出すノウハウになるのです。
まとめ
ついに、積立て投資で目標金額を達成しましたが、それをどうやって管理していけばいいのかが、よく分からない人も少なくありません。
具体的には、引き出しながら資産運用は続け、みらい資産から毎年1回プライベート年金を引き出すという形が理想的です。
また、ポートフォリオの成績によって生活支出を調節したり、リ・バランスの作業と、プライベート年金を同時に行ったりして、ポートフォリオの原資を保つように心がけていきましょう。
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