外貨預金や外貨建て債券、外貨建て株式や投資信託のうち外貨資産に投資しているものを「外貨資産」と言いますが…
意外と日本人は、海外の人に比べて外貨資産を買いません。
でも海外の人は当然のように買っている外貨建て資産。
これについて、一緒に考えていきましょう。
3.4%という、ショッキングな数字
ここで、日本人のお財布の中身を大きな風呂敷に広げて見てみましょう。
日本銀行の「資金循環統計」によると、日本人の個人金融資産残高は約1489兆円。
その中で、外貨建て資産の保有割合はわずか3.4%の50兆円にすぎません。(2007年度末現在)
これは一体、何を意味しているのでしょうか?
日本人はその資産のほとんどを、いまだ「円」で保有しているからなのです。
想像してみて下さい。
巨大な「個人金融資産」が、たった1つの通貨である「円」という細い棒によって支えられているのです。
これまで学んできた「ポートフォリオ」の考え方を思い出してみると、この状況は明らかに危険であると思いませんか?
なぜなら、たった1つの国の、たった1つの通貨に、資産が偏っているからなのです。
私達は外貨建て資産の保有を、法律で禁止されている訳ではありませんし、商品の選択肢だって豊富にあるのです。
例えば、イギリス人やシンガポール人やノルウェー人のように、世界を中心に投資を実践している人達から見れば、「何ていびつなポートフォリオなんだ…」と思われるかもしれません。
世界に商機を見出そう
さぁ、あなたの「ビジネス感覚」を呼び覚ましていきましょう。
例えば、あなたがダンプカーを扱っている建設機械会社のビジネスマンだとします。
ダンプカーを販売するマーケットは、どこに存在するでしょう。
当然、建設工事が発生するところですね。
では、建設工事はどこで発生するでしょう。
世界中のいたるところで行われていますね。
先進諸国では、多くの建設ニーズがあります。
また、新興諸国でも、インフラ整備をはじめ、オフィスビルや商業施設などの建設ニーズが高く、あなたは世界中の顧客を相手に、商談を繰り上げる事が可能なのです。
アジアでも、北米でも、南アフリカでも、ショベルカーを買ってくれる会社があれば、それはあなたの会社にとって「収益のチャンス」となります。
投資も同じ事だと言えます。
世界中のマーケットを相手に、収益のチャンスを求めればいいのです。
あなたは日本に住み続け、日本の中で仕事を行いますが、あなたのお金は世界を駆け巡ってもいい訳です。
中には「為替リスク」を気にする人がいるかもしれません。
しかし、積立て投資では、外貨建て資産の「購入時期」は広く分散されています。
仮に20年間投資を続ければ、あなたは240回分、違った為替レートのもとで外貨建て資産を購入する事になります。
また、リタイアの時期を迎えても、保有しているファンドを全て売却し、外貨資産を一気に「円」に戻す訳ではありません。
外貨建て資産を「円」に戻す時期も、分散されています。
長い目でみれば、複数の通貨建て資産にお金を託した方が、安定した収益が期待できるでしょう。
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①組み合わせを作る
②グループ別に投資する
長い目でみると、日本の円の価値は緩やかに低下する「円安」になると、私は考えます。
現在、日本の個人金融資産のほとんどは「円建て」で保有されていますが…
今後、将来の不安感から、外貨建て資産を購入する人が増えるでしょう。
すると、長期的に大きな「円売り」「外貨買い需要」が発生します。
ここでは分かりやすく日本の個人金融資産を1000兆円としましょう。
そのうちの10%、100兆円分の資産が「外貨建て資産」を購入すると、一体どんな事が起こるのでしょうか?
実は、100兆円分の「円売り」→「外貨買い」需要が発生するのです。
円高の要因の1つとされている年間の貿易黒字が十数兆円程度ですから、100兆円分の「円売り」は、需要と供給のバランスでいうと、強力な「円安」要因となります。
また、これは皮肉な事なのですが、「円安」が進むにしたがって、より多くの人が「外貨建て資産」の購入に走る事が予想されます。
すると、さらに「円安」が加速していくのです。
20世紀の初め、その事にイギリス人が気付き、今、アメリカ人が気付き始めているように、今後、日本人も自分の資産を「保全」する事が求められます。
世界に収益のチャンスを求める事は決して「冒険」ではなく、私達の資産価値を長期的に守る為の「守りの行動」なのです。
まとめ
日本人の場合、資産のほとんどを、いまだに「円」で保有しているので、「外貨建て資産」を買う事は少ないですが…
実は、たった1つの国で、たった1つの通貨に資産が偏っているのは、危険な状態だと言えます。
リスクの分散の為にも、世界中のマーケットを相手に、収益のチャンスを求め、自身の資産価値を長期的に守っていく事が需要になりますよ。
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