最近、よく聞くものの中に「熟年離婚」があります。
何年も連れ添った仲ですが、性格の不一致により、離婚してしまう高齢者も少なくありません。
…と言っても、こればかりは2人の問題なので、部外者はあまり口を挟むべきではないのですが…
実は、「熟年離婚」をすると損をするものの中に「年金」があります。
一体、お互いの年金はどうなってしまうのでしょうか?
離婚しても年金を分割できる⁉︎
ここ数年前から「熟年離婚」と言われる、高齢者の離婚が増えてきました。
そうした風潮の中、2007年に「年金分割制度」がスタートし、夫婦でもらえる厚生年金や共済年金は離婚した時に分割できるようになりました。
この分割の方法は2種類あります。
まず1つは、2007以降の離婚を対象とした「合意離婚」です。
夫婦で納めた厚生年金や共済年金について、夫婦間の協議で分割の割合を決めます。
もし合意に至らなかった時には、裁判所に調停や審判を申し出る事ができます。
もう1つは、2008年5月1日以降の離婚を対象とした「3号分割」。
2008年4月1日以降で、夫または妻のいずれかが第3号被保険者であった期間について配偶者の厚生年金や共済年金を2分の1ずつ分けます。
この年金分割制度を利用して、定年後に離婚した元夫婦が年金をもらった場合、離婚しないで年金をもらった場合と比べて年金の金額はどう違うのでしょうか?
あるシミュレーションによると、離婚しなかった場合に夫婦合計で約300万円もらえたはずの年金が、離婚した場合は夫婦合計で約260万円しかもらえません。
この約260万円の内訳は、元夫が約140万円、元妻が約120万円になります。
どちらにしても老後の生活資金としては決して十分とはいえません。
もらえたはずの加給年金も振替加算もなくなる⁉︎
離婚をした場合、離婚しなかったらもらえたはずの「加給年金」や「振替加算」ももらえません。
加給年金とは、65歳未満の配偶者と高校生以下の子供を持ち、一定の要件を満たした加入される年金です。
この加給年金は妻が65歳になるとストップしますが、代わりに妻の年金にプラスされるのが、振替加算です。
振替加算は加給年金ほどの金額はありませんが、一生涯もらえるもの。
しかし、熟年離婚をしてしまうと、こうしたものもなくなる訳なので、年金の支給から見ると、離婚は損だといえますね。
まとめ
数年前から「熟年離婚」と言われる高齢者の離婚が増えてきましたが…
離婚した時に、夫婦でもらえる年金が分割できるようになっています。
しかし、離婚をしなかった人に比べて、金額は少なくなりますし、加給年金や振替加算もなくなってしまいます。
夫婦間の問題なので無理強いはしませんが、年金の受給から見ると損をしてしまうので、離婚はしない方が良いと言えますね。
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